光本さん教えて!事業売却の特徴や会社売却との違い

事業売却は今ある会社が事業の全部または一部を、他の会社や個人に売ることで対象となる資産と負債が契約に基づく「取引行為」で個別の移転手続きなどを行ってから移転・承継されます。
また、事業譲渡だと会社がある事業の全部または一部を譲渡することで、企業全体を売買対象とする株式とは違い譲渡する事業を選べます。
よく会社分割と比べられますが、これは分割対象になる資産と負債が個別の移転手続きなどを要せずに包括的に移転され、取引行為の会社売却と組織再編行為で法律上でも明確に違います。

事業売却だと特定のものだけ切り離すときに使い、赤字・成長・ノンコアなど自社の経営戦略にあわせて自由に売るものを選べます。
うることで対価を得られてそれを新規のビジネスに投資出来たりとメリットもあります。
会社売却だと全体を売ることでオーナーが保有している対象企業の株式を、第三者へ売ります。
買い手はオーナーに対して代金を支払い株式を所有することで経営権を取得、引き続き新しい経営者のもとで存続出来ます。

価値算定方法

価値算定方法には主に4つあって、DCF法は将来獲得できると見込まれるキャッシュフローの総額を割引現在価値に直してから価値を計算し、対象事業の将来計画で大きく変動するのでいかに合理的に計画を策定できるかが実務上では重要となります。
マルチプル法は似ている上場企業の株価をもとに価値を算定し、上場企業の財務数字に対する価値の倍率は売上高・営業利益・最終利益・純資産・EBITDAなど、よく使う財務数字として挙げられます。

時価純資産法は、事業の有する時価から負債の時価を控除して価値を算定し、対象資産に多額の土地が含まれている場合に有用です。
赤字企業でDCF法や類似会社比較法が使えないときは消去的にこれが採用されます。
年買法は「時価純資産+営業利益×何年分」で行い、他の方法と比べて理論的ではないです。
M&Aの実務上で簡易な方法で使うことがあり、時間をかけないで大体の金額を計算するときに便利です。

売却側のメリット

売却側のメリットは、会社の称号を売った後でも使えることと赤字事業だけを売るなど本業に経営リソースを集中させられることです。
会社ごと売ると商号は買い手が使用することになって売り手は使えませんが、商号に歴史やブランド価値があるときは愛着がある商号が残ることが利点です。
また、赤字になっている部分だけ切り離して、本業とシナジーの薄い所を売ることで本業にリソースが集中でき、それが筋肉質な経営体制になって企業価値の増加に繋がります。

買取側のメリット

買取側のメリットは必要な資産と負債だけを選んで買収が出来るので、いらない資産を抱え込む必要がないことです。
これが企業丸ごとだと不要なものまで全て承継することになりますが、その無駄を省けます。
他に、簿外負債を引き継ぐ恐れがなく、これは帳簿に載らない負債のことでM&Aの世界ではよく論点となり、買い手が簿外負債を引き継いでしまうと想定外の損失を追う可能性がありM&Aによる投資コストを回収が出来なくなります。
これも部分的なら会社に紐づいた簿外負債を引き継ぐ心配がないので安全に引き継げます。

株式譲渡だと基本的に買い手に対して自分が持っている株式を譲渡するだけで手続きが出来ますが、事業売却だと個別財産ごとに事業承継の許可や許諾を得ていく必要があるので引継ぎには時間がかかります。
事業譲渡契約書を締結した後は何もすることはないのではなく、実際の譲渡完了までには尽力しないといけません。
買取の方も消費税の支払いが必要で純粋な事業譲渡の金額に消費税10%が加算された金額を売り手に対して支払い、消費税を踏まえてから投資回収が出来るか事前に慎重な検討が必要です。

会社ごと買うと被合併会社の繰越欠損金を引き継ぐことができる

会社ごと買うとグループ内で合併をするなど一定条件を満たすと、被合併会社の繰越欠損金を引き継ぐことが出来ます。
繰越欠損金を引き継ぐことで買い手としては将来の税負担を軽減させられます。
事業買収だと税務上の優遇処置はなくて、売る側に繰越欠損金があったとしても引き継ぐことが出来ず、組織再編行為ではなくて当事者間の取引なので税務上での特別なルールがありません。

最初は行うのはどの事業を売るかで、不採算事業、成長事業ではあるもの今後の投資額増加が見込まれる、ノンコアなど自社の経営戦略に従って切り離すかを特定します。
決まったら売却事業に関する数字を整理し、貸借対照表・損益計算書が事前に作成されているときは追加作業は不要ですが、情報が整理されていないと改めて準備を行います。
買い手探しには主に売り手が直接売却の打診をする・FAやM&A仲介会社を利用する金融機関(メインバンクや証券会社)に相談、信頼する人物に相談する・直接売却の打診があります。

まとめ

仕入先や得意先など関係の深い企業に対し直接アプローチする方法だと、トップ同士が顔見知りならスピード感を持ってプロジェクトも進められます。
仲介者もいないので手数料などのマージンも節約できます。

 

光本勇介テキーラ