容積計量式とギアポンプ式、混合吐出の方式はどう選び分けるか

生産技術の野々村です。
車載電装部品メーカーで14年、放熱材の塗布など液剤を扱う工程の立ち上げをやってきました。

2液性樹脂のディスペンサ選定は、私も社内で3回主担当をやって3回とも同じところで迷いました。
カタログに方式名は並ぶのに、自社の材料でどれを選べばいいかが最後まで見えてこないんですね。

方式名を覚える話ではなく、現場でどこが分かれ目になるのかを整理します。

「容積計量式かギアポンプ式か」という分け方は、実は正確ではない

ギアポンプは容積式ポンプの一種です。
2枚の歯車がかみ合い、開くときに吸い込んで閉じるときに吐き出す。
決まった容積を送り出す点で、プランジャポンプと同じ仲間です。

実際、ナカリキッドコントロールのギアポンプ2液型ディスペンサ「CF-25」も、計量方式欄は「容積計量(ギアポンプ式)」と書かれています。

では、なぜ対立する方式のように語られるのか。
カタログ用語の「容積計量方式」が、プランジャ式やポジロード式を指して使われることが多いからです。

技術の対立ではなく、言葉の使い方の問題なんです。

実務で効いてくるのは「ショット吐出か、連続吐出か」

ここを先に決めると、候補が一気に絞れます。

プランジャ式はプランジャを往復させて液を押し出します。
1回押し出すたびに充填動作が要るので、点打ちやショット塗布が本来の土俵です。
兵神装備の技術コラム2液混合装置にも、往復運動のため連続吐出は難しく脈動する欠点があると書かれています。

一方のギアポンプは歯車が回り続けるので、長い距離をビードで引く連続吐出に向きます。

カタログの「吐出量」の単位を見れば一目で分かります。

方式の例吐出量の表記
プランジャ式(νシリーズ)0.036〜5ml/shot
ギアポンプ式(CF-25)0.8〜33.4ml/秒

shotで書いてあるか、秒で書いてあるか。
これで、その装置がどちらの仕事を想定して設計されたかが読めます。

粘度と摩耗は、比較する前の足切り条件

方式を比べる前に、落ちる組み合わせを外しておくと早いです。
ギアポンプ側で引っかかるのは次の2点です。

  • 粘度が低すぎる液:歯車とケーシングのすき間から漏れるため、定量性の確保にある程度の粘度が要る
  • フィラーを多く含む液:耐摩耗性の面で不利とされる

2つめは、放熱材を扱うなら他人事ではありません。

放熱用のギャップフィラーは、熱伝導率を上げるためにアルミナなどの無機フィラーを高濃度で充填しています。
アルミナは京セラの解説によればステンレス鋼の約3倍の硬度です。
硬い粒子を含んだ液を、狭いクリアランスの歯車で送り続けたらどうなるか。

摩耗で吐出量がずれたとき、本当に困るのは混合比のほうです。
フロンティア・ラボが2液型エポキシで行った硬化不良の分析では、主剤過剰で混ぜたものは硬化せず、粘稠性の液体のままだったそうです。
体積比3対1という極端な条件ですが、比率が崩れれば未反応成分が残ります。

最後は自社の材料で試す以外にない

とはいえ、カタログの数値だけで結論を出すのはおすすめしません。

各社のスペック表には「数値は理論値です」と但し書きが付きますし、メーカーの比較表は自社の得意な方式が有利に見える書き方になります。

だから最後は、自社で実際に使う樹脂を流してみるしかありません。

放熱用2液ギャップフィラーを協働ロボットで扱う例なら、計量から混合吐出までの一連の流れを見せているページが参考になります。

まとめ

方式選定は、用語の整理から入ると遠回りに見えて近道です。

  • ギアポンプも容積式ポンプの一種。カタログの「容積計量方式」はプランジャ式やポジロード式を指すことが多い
  • 実務の分かれ目はショット吐出か連続吐出か。ml/shotかml/秒かで設計思想が読める
  • 低粘度とフィラー高充填はギアポンプ側の弱点。放熱ギャップフィラーは特に摩耗を意識する
  • 最終判断は理論値ではなく、自社の樹脂での実機テストで下す

私が選定を外したときは、決まってカタログの粘度上限だけを見ていました。
上限に入ることと、その粘度で狙った精度が出ることは別の話です。