伝えたい縄文文化の大切さ

アイヌ文化

「カムイノミ」~道路工事の前に行われた動植物の神々への祈り(平取町)

飼育した熊を神の世界に送る「イオマンテ」(昭和初期)

北海道の先住民族の文化であるアイヌ文化は14世紀頃に成立したとされています。最近の研究によれば、漁労、狩猟のほか雑穀の栽培などを行うとともに、イタオマチと呼ばれる外洋船を駆使して、本州や千島列島、サハリンを経由して大陸との交易を活発に行い、重要な経済基盤としていたことが明らかになっています。

一方で、アイヌの人びとは、自然の恵みを神々からの恵みとして感謝する精神文化を持っており、日々の糧を与えてくれた生き物の魂を神々の世界に送り帰す儀式を行っていました。特に飼育したヒグマやシマフクロウに対して行う「イオマンテ(霊送り)」はアイヌの人々にとって大変重要で盛大な儀式です。この儀式は北方の民族から伝わった可能性がありますが、命を大切にする精神文化の源流は縄文時代に遡ることができると考えられています。つまり、縄文文化の精神性をもっとも色濃く受け継いでいるのはアイヌ文化であると言って過言ではないでしょう。

縄文文化の現代的意義

北海道の大地

秋、川には鮭が上り、森には木の実がなる恵み豊かな北海道の大地も、冬には深い雪と厳しい寒さに覆われますが、やがて巡ってくる春には生命が輝く喜びに満ち溢れます。

縄文人、そして後のアイヌの人びとはこうした自然のサイクルとともに生き、日々の糧をもたらす自然環境を大きく改変することなく長い歴史を積み重ねてきました。

持続可能な社会を築いていくことが人類共通の課題となっている今、私たちは、こうした特色を持つ縄文文化を世界の人々に知っていただきたいと考えます。

世界文化遺産に向けて

縄文時代、津軽海峡を挟んだ北海道と青森県、秋田県、岩手県の地域には共通の文化圏がありました。そこで、北海道と北東北の3県は、2007年、世界文化遺産登録の候補地となることを共同で国に提案しました。

日本の縄文文化がもつ世界的な価値とは、大きな人工的構築物を作り出す技術や知識ではなく、自然のなかで人が謙虚に暮らすことにより生命と文化を共存させた精神性や英知であると考えています。

私たちは、縄文文化の大切さを多くの方々に知っていただくとともに、縄文遺跡群が世界遺産に登録され、人類の歴史遺産として未来に向け保存されることを願っています。

復元された大型掘立柱建造物と大型住居(青森県青森市三内丸山遺跡)