対談・北の縄文
藤宮峯子さんと大島直行さん、お二人の対談を5回に分けて連載いたします。
高血圧について
(大島)
パプアニューギニアのギデラ族は世界で最も塩の摂取量の少ない民族であると言われています。人間は生理的に1日0.6グラムくらいの塩分があれば生きていけるそうですが、彼らは自分の体の塩分が減ってくるとビラという木の葉を焼いて舐めるのだそうです。ビラの木の葉にナトリウムが含まれていることを経験的に知っているのです。
しかしこのパプアニューギニアに、東大の研究者が1965年頃入って調査したときには1グラムに満たなかったのが、10年経って行ったら3.5グラムほどに増えていた。それはオーストラリアから食卓塩が入ってきて、何にでも塩をかけて食べるようになったためだということです。
私も高血圧で15年来薬を飲んでおりますが、高血圧はやはり塩分摂取量と関係しているのでしょうね。
(藤宮)
先ず塩分摂取量が第一です。ただし、高血圧というのは、実は、自律神経の疾患でもあるわけです。つまり、血管を収縮させる交感神経の作用ですので、ストレスが関係します。大島先生も、余り講演会が続いて次々ストレスを感じておられると精神的な緊張感が持続し、血圧にとっても良くないのです。
(大島)
高血圧などは、特に塩分の摂取量が高くなくても、ストレスが大きな引き金になる可能性があるということですか。
(藤宮)
そうですね。高血圧の理由としてもちろん塩分もありますが肥満もあります。例えば肥満の方は糖尿病や動脈硬化、また高血圧が合併することがあります。
塩分には地域性があると思います。塩が手に入り易い環境にありますと、人間というのは出来るだけおいしく食べようとして、ちょっと塩を加えるなどの工夫を試みるものです。多分、高血圧というのはその民族の地域性というのもかなりあるのではないでしょうか。
(大島)
縄文時代のある一時期、関東、東北地方では製塩土器を作っていました。多分、今でいう漬物のように、塩漬けにした保存食を作るために塩を作ったのではないかとの説もあります。しかし、縄文人が恒常的に塩を作った痕跡はなく、いろんな民族例を見てもそうです。
(藤宮)
高血圧の方の食生活の指導で良く言うのは、塩分に対する嗜好がある方は酢を食べ物の中に混ぜることによって塩分に対する嗜好を随分と和らげられるということです。子供のときから家庭で濃い味に慣れ親しんだ人が、急に高血圧だからといって医者に塩分制限されると、本当に食事の楽しみをなくしてしまう。こういう人達にどうやって減塩指導をするかというと、出来るだけ料理の中に酢を使って塩分を減らしていくということです。人間の味覚は習慣的なものがあるのでちょっとした心掛けによって健康な生活が出来ます。




